身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

『助けてくれて、ありがとう』

嘘でしょ……

「えっと……なにから聞けばいいのか……あなた、私と話せるの?」

猫は再びコクリと頷くと、得意げに目を細めた。

『そうよ。と言っても、あなたの頭の中で聞こえるだけ。他の人には聞こえてないわ』


訳の分からない世界なら、こんな不思議な現象もアリなんだろうか……
ほら、童話の中にも動物と話せるプリンセスもいたじゃない?
まともに考えれば発狂しそうで、とりあえずこの不可思議な現象を異世界のせいにして受け入れた。


「えっと、私もあなたも、なんでここにいるの?」

『元々、私にはこっちが本当の世界なの。あの世界に迷い込んじゃって困ってたんだけど、帰る道筋が見えた気がして……ほら、私って猫でしょ?道しか見えなくなって、思わず飛び出しちゃったところをあなたが助けてくれたの。ありがとう』

だめだ。私の理解の範疇を超えた。

『ねえ。それよりも、歌ってよ。あなたの歌は、すっごく心地良いの』

「え、ええ」

気付けば、他の動物達も催促するような目を向けてくる。そんな目を向けられたら、応えるしかない。
もう一曲歌い出せば、うっとりとした顔付きになる動物達。猫に至っては、目を閉じてしまって寝てるんじゃないかって感じだ。