身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「ここではじめてサーヤを見た時……いや。この部屋の扉を開けた瞬間だな。その匂いで、この娘こそが自分の求める唯一だと悟った。生涯たった一人だけの異性に、どうしようもないほど惹かれるのは、狼の宿命だ。
これまで、どれほど探しても見つけられなかった宝物が、自分の目の前にいることが信じられなかった」

〝婚儀前に寝室を共にさせた宰相には、褒美をやらないとな〟と笑うエディ。
知らなかった。あの時はただ、利害が一致しただけの、都合の良い相手とぐらいにしか思ってなかった。だって、そんな素振りは一切なかったから。


「でもな、顔を見て驚いた。確かに、ソフィア王女との結婚が決まっていたんだから、彼女がここに送り込まれていてもおかしくはない。けれど、俺の知っているあの人の匂いと、目の前にいる娘の匂いが全く違うんだ。匂いが変わるなんてことはないはずだ。
サーヤから事情を聞いて、半信半疑ながら納得した。見た目が同じだけで、違う人物なのだと」

いくら外見が同じでも、匂いまでは同じにならないのか。それが誰にでもわかるような目に見えることじゃなくても、ソフィア王女との違いが一つでも見つかったことが嬉しかった。