身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「陛下。確かに、見た目だけなら本物に見えるかもしれません。しかし、私の目と鼻は誤魔化せません」

「どういうことだ?」

「匂いが違う」

「匂い、だと?」


陛下とエディの会話。これは、なんとやり取りなんだろうか?サンザラ側は、全員困惑しているのがわかる。

これまで私、そんな変な匂いを放っていたのだろうか?不謹慎にも、思わず自身の腕に鼻を寄せた。


「狼の血を引く私には、その違いは一目瞭然」

「え……」

思わず小さくもらした声に、エディが反応する。フードの影から向けた視線が彼のものと絡むと、鋭さは消えて、打って変わって甘くなる。エディは、私がここにいるって、はじめからわかってるんだ。


「サンザラの人間よ、聞くがよい。俺の母が、狼の血を引く一族の出だというのは有名な話。サンザラでも、噂話程度には知られているんじゃないか?」

イアンとクラリッサが、半信半疑といった様子で、それでもおずおずと頷いた。


「その性質の一部は、俺にも受け継がれている。狼はその性質から、俺は生涯一人の異性しか愛することができない。
ソフィア王女との結婚が決まり、俺の元にやってきた彼女を目にして、その匂いに触れた瞬間、俺の運命の相手だと確信した。ゆえに、婚儀では狼流の誓いを立てた」