身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「さや香様、行きますよ」

「……はい」

「説明した通り、このまま私達と外で待たせている馬車まで向かいます」

「わかりました」

「できる限り、人通りの少ない通路を考えてありますが、顔を見られるわけにはいきません。気を付けてください」


もはや、私はコソコソしないといけない存在なのか。手渡されたポンチョを纏って、付いていたフードで顔を隠す。
さっきまでの自分との落差に、なかなか心がついていかない。

急かされるように部屋を出され、そこでイアンとレスターも加わって、囲まれるようにして静かに歩き出した。



息を潜めて通路を進む。
昼間の賑やかさが嘘のように静まり返る城内に、あの婚儀は夢の中のできごとだったのではとすら思えてくる。

2回ほど、イリアムの侍女とすれ違ったものの、なにも疑われなかったようだ。


そのまま辿り着いたのは、エディとランチを共に過ごした芝生の広場だった。さすがに城の正面から出るわけにはいかなかったのだろう。どこか目立たない出入り口を使うようだ。


「このまま、森を抜けて裏口から出ます」

イアンの説明に頷く。


この場所に来ると、自然とエディの姿が思い浮かぶ。その横には、ソフィア王女が寄り添って……

思わず想像しかけて、打ち消すように首を振った。
考えると辛くなるだけだ。