身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「こちらの事情を聞いてもらいましょう」

混乱する私をよそに、イアンは詳しい話をし始めた。
私としては……聞きたくない話だった。


「私達の国サンザラと、イリアム王国は隣り合った国。関係はそこそこ良好ですが、万全なものではありません。
イリアムは、大陸一の大国。対するサンザラは、国土も狭く、とても力で敵う相手ではありません」

イアンは、特に悔しがるでもなく、淡々と話をしている。

「サンザラは、緑に囲まれた長閑な国です。人々は、争いよりも平和を好む。
しかし、常に他国からの侵略に脅かされ続けています。残念ながら、平和主義の小国では、一度侵略されればひとたまりもありません」

力のない国なのかもしれないけれど、きっとよい国なのだろう。馬車から見た風景は、イアンの言う通り長閑で、のんびりとした雰囲気だった。