身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

午後からは、イリアムの侍女のポリーに、城の中を案内してもらった。私が移動する時にはいつだって人が付いてくるから、目的地までの道順は、どうしても人任せになってしまって覚えられない。しかも、訪れる場所もそれほどなかったから、この城の全容がどうなっているのかなんて、全くわからなかった。

〝本当はもっと早くに案内したかったのですが……〟と、サンザラの人間をチラリと見る様子に、クラリッサあたりが止めていたのだろうと想像がつく。勉強三昧で、そんな時間は少しもなかったから。
それに、本物の王女様がもどった時、城内についての知識に差が出るのはまずいからだろう。私にはできる限りこの城の内情を知られたくないのだ。色んな意味で、無知でいさせたいのだろう。


「あちらは、騎士団が詰めている塔になります」

バルコニーから外を見渡していた。ポリーが指し示したのは、ここへ来た時に見張り台だと思っていた塔だ。位置的には、森を抜けた先。

「エドワード様の執務室も、あの中にあるんですよ」

騎士団といっても、エディが率いているのは主に国外からの侵略や盗賊らの討伐を担うもの。他にも、城を守る騎士や、要人警護の近衛騎士など、いくつかの種類があるらしいけれど、馴染みがなさすぎて理解が追いつかない。