身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

それからしばらく、歌を口ずさみつつ、近付いてくる動物達の体に手を這わせていた。
この子達、野生じゃないのかしら?私が腕を伸ばしても、怯えたり逃げ出したりすることなく、平気で触らせてくれる。
ユキなんて、まるで掻く場所を指定するかのように自ら首を捻ってるし、ゴロゴロと喉を鳴らしてもいる。

残しても悪いからと、パンをちぎって放ってやれば、鳥達が啄む。すごく長閑な時間だ。



いろんな煩わしいことを忘れて、まったりのんびり過ごしていた時。突然ユキが頭を持ち上げた。なにかを感じたのか、じっと森の方へ目を向けている。同じように、私も森を見つめたけれど、特に変わった様子は見られない。

でも、ユキだけではなく、他の子達もみんな森に目を向けてる。うさぎなんかは、鼻をヒクヒクさせて、なにかを嗅ぎ取ろうとしているようだ。動物達にしか感知できない〝なにか〟がいるに違いない。


「ねえ、なにがいるの?」

尋ねてみるも、答えは返ってこない。というより、耳に届いてすらいないようだ。



『ねえ、歌ってよ』

しばらくして、森に目を向けたままのユキがねだってくる。けれど、状況が掴めなくて、なにを歌っていいのかわからない。そもそも、呑気に歌ってていいのか?