身代わりとして隣国の王弟殿下に嫁いだら、即バレしたのに処刑どころか溺愛されています

「なに、この乗り物……」

音から想像した通り、前方にチラッと見えたのは、確かに馬だったと思う。

「馬車も知らないのですか?」

ですよねぇ……馬が引くものと言ったら……


「えぇー!!馬車!?」

頭の打ちどころが悪かったのだろうか?それとも、すでに私は死んじゃってるの?
三途の川も綺麗なお花畑も見てないけれど、もしかして、馬車であの世へ向かっているとか?


「静かに。声がもれます」

「す、すいません」

男にジロッと睨まれて、思わず謝ってしまったけれど、すぐに私が悪いのかと疑問が湧いてくる。


「気分が悪いとか、どこかが痛いとかはございませんか?」

首を捻っていると、女性の方がおずおずといった雰囲気で、それでも丁寧な口調で尋ねてくる。

パニックに襲われてもおかしくないこの状況。けれど、あまりにも不可解すぎたせいか、私は意外と冷静だ、と思う。