それから要は、先ほどの舞のまねをして、(観客の表情をうかがうフリをしながら)

「ほら、みんな納得してくれたぜ!」

と言いながら、舞にウィンクしてみせた。

―む・か・つ・く~っ!―

舞は、眉をつり上げて要をにらみつけた。
さらに、要は舞に言った。

「大体、靴のサイズなんて、似た様な奴がたくさんいて当然!
それだけで、王子の、運命の女性が見つかる訳ないんだよ!」
「じゃあ、この話の王子様は、一体どうやったらその運命の女性と結ばれる事ができるのかしら!」

舞は、要にどなりつけた。その問いに対して、要は舞にこう言った。

「ひとまず、俺の探している女性が、今三人に絞られたわけだろ?まあ、そこまではいいとしよう…」

そう言って、要は、倫子、舞、そして、えんぴつの三人を見つめた。
頭数に入っていなかったどんぐりは、なんだか場違いの様な気になって、恥ずかしさの余り、皆が気付かない内に、舞台からフェードアウトしていた。