チョコなんてあげないっ!



あれから、サヤが追いかけて来てくれて。


「……もしかしたら、一緒に歩いていただけで、彼女じゃないかもよ? だって琳、水谷くんから彼女ができたって言われてないんでしょう?」


落ち込むあたしに、優しくそう言ってくれた。


サヤを置いて、1人だけ先に行ってしまったあたしのことを全く責めずに。


「だったらさ。落ち込むのはまだ早いよ。
まだ、チャンスはあるんじゃない?」


サヤ……。


「せっかく告白するって決めて、ガトーショコラの材料も買ったんだから。

さあ! 気を取り直して、これから私の家で一緒に作るよ。バレンタインは、もうすぐそこなんだからね。行こう! 琳」


サヤに勇気づけてもらったあたしは、それからサヤの家で2人で一緒にガトーショコラを作った。


広斗へのありったけの想いを込めて───。