「買えて良かったね」 「うん。このあと少し時間あるし、どこか寄ってく?」 買い物を終えたあたしは、サヤとそんなことを話しながら、ショッピングモールをぶらぶらと歩いていた。 すると─── 「ねぇ、ヒロくん。あっちも見てみる?」 「おー。そうだな」 少し離れたところから、"ヒロくん"という女の子の声のあとに、聞き慣れたいつもの低い声が聞こえてきた。