チョコなんてあげないっ!



「ったく、しょうがねぇなぁ。
俺が取ってやるよ。どの辺?」


そう言って広斗は、自販機の下に手を入れた。


「琳のその短い手じゃ、いつまでかかるか分かんねぇしな」

「みっ、短い手で悪かったわね!
広斗、一言余計だってば!」


あたしがそうこう言っている間に、広斗は500円玉を取ってくれた。


「ほら」

「あっ、ありがとう……」


広斗から500円玉を受け取るときに、広斗とあたしの手のひらが一瞬触れて、ドキドキする。