「言葉通りだけど。晃成からしたらただの遊びでしかないのに、勝手に勘違いしてるだけじゃないのかなって意味。わかる?」
最後、クスッと笑いながら聞いた彩佳さんの態度はとても挑発的に思えた。
それは、渡さんも同じだったようで……。
「勝手なこと言ってんのはそっちだろ。ブス」
いつもの笑顔からは想像もつかない歪んだ顔で暴言を吐いた渡さんに、私の逆隣りにいた先輩が思わず口を出す。
「渡くん、さすがにそれは……」
けれど、彩佳さんは「ああ、いいですよ」と余裕の笑みで君島先輩を止めた。
「私とは住む世界の違うそのへんのサラリーマンになにを言われたって気にならないので、どうぞご自由に。ついでに言わせてもらうと、明らかに事実ではない言葉での挑発はあまり有効とは言えないわよ」
確かに彩佳さんは誰から見ても綺麗で、間違っても〝ブス〟ではない。
非力で華奢な人相手に〝馬鹿力〟と悪口を言ったところでポカンとされるだけだ。それと同じ意味だと言いたいんだろう。
ニコリと笑う彩佳さんに、眉を寄せた渡さんが言う。
「じゃあ言わせてもらうけど、あんたの言動がどれだけ非常識だかわかってんの? 面識もない相手を待ち伏せて一方的に高い位置から文句言って傷つけて……それで自分は悪くありません、みたいな顔してるとかどうかしてる。ブスっていうのはその態度とか性格含めてだよ。頭大丈夫か?」
どんどん言う渡さんに驚く。
彩佳さんもさすがに笑顔でいられなくなったのか、真顔になり眉をピクリとさせていた。
そんな彩佳さんを見て、今度は渡さんが笑みを浮かべる。



