結局、被害届を出し写真やらなにやら手続きを終え、その場は解散となり、ふたりで車に乗り込む。
警察車両が駐車場から出て行くのを待たず、東堂さんは、すぐに携帯から保険会社に連絡を入れ、補償されることを確認すると、今度は自動車メーカーに電話をかけ修理の依頼をしていた。

この車を買ったときにお世話になった担当さんとの電話を終わらせた東堂さんは、「これで問題ない」と私の頭を撫で微笑む。

公園利用者専用の駐車場には未だ車は少なく人気はなかった。
頭を撫でる手を両手で捕まえ胸の前で握り締めると、東堂さんが驚きを顔に広げた。

でも、「この車、気に入ってるって言ってたのに……本当にすみません」と私が謝罪した途端に、困ったような笑みを浮かべる。

「だから、ひなたのせいじゃない。補償も利くし修理にもそこまで時間はかからない。どうせ俺は明日からフランス出張だし、車は使わないからなんの不自由もない」

そうは言っても、罪悪感に覆われた気持ちはすぐには切り替えられない。東堂さんはこう言ってくれるけれど、やっぱり責任は私にある。

だから、「でも……」と目を伏せたままでいる私に、東堂さんはひとつ息をついてから近づいた。
気配を感じて視線を上げると、鼻先がぶつかる距離に東堂さんの顔があって目を見開く。