そして、一番下には手書きでもうひとつ携帯番号があった。おそらく、東堂さんのプライベートのものだろう。
それを確認した途端、ただの名刺なのに絶対に紛失できないという焦りと使命感に駆られた。
だって、あの東堂プロダクツ御曹司の東堂さんのプライベートの携帯番号が私のせいで流出したら大事件だ。
質量の何千倍もの重大機密が書かれた名刺に恐れ入っている間に、東堂さんが会社から出て行く。
自動ドアの音でそれに気づいたけれど……嘘のような出来事に、しばらくは立ったまま呆然としていることしかできなかった。
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