御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない



「いえ」
「本音を言ってくれていい。俺自身、そんな考えはどうかしてると思ってるし、もちろん、行動に移すつもりはない。……まぁ、理性が働いているうちはって条件はつくけどな」

苦笑いを浮かべる東堂さんに、ふっと笑みをこぼす。

「わかってます。東堂さんはとても大人でしっかりしているって。だから、強い独占欲を見せられても私はなにも怖がらずに安心して喜んでいられるんだと思います」

その答えに、東堂さんは少し驚いたような顔をしてから納得いかなげに片眉を下げた。

「喜んでたのか? 気付かなかった」
「はい。嬉しかったです。いつも頼りになる東堂さんが、甘えてくれてるみたいで。東堂さんが忙しいのは知っているので、どこかで息が抜ければいいなってずっと思ってました。それが私の前でなら、私はすごく嬉しいです」

笑顔で見上げた瞬間だった。
そのままゆっくりと押し倒され、東堂さんごしの視界が天井になる。

頭を抱えられたまま倒れたので痛みは少しもなかったけれど、突然だったので驚いた。
自分が押し倒されたのだと気付き戸惑い声をなくした私を見下ろした東堂さんが、少し困ったように笑みを浮かべた。

「ひなたは俺を買いかぶってるな」
「買いかぶってるなんてことは……」

東堂さんは素敵な人だし、完璧すぎるくらいだ。
東堂プロダクツの名前を背負いながらも、プレッシャーに負けず頑張っていることは私でも知っている事実。

誰から見ても同じ評価になるはずだし、私が買いかぶっているなんてことはない。
そう思うのに、東堂さんは「いや。買いかぶってる」と意見を曲げなかった。