うっかり思ったままを口にしてから、失礼な言い方だったかもしれないと慌てて付け足すと、東堂さんは自嘲するような笑みを浮かべた。
「いや、俺もそう思ってたし……たぶん、実際もそうだった」
伸びてきた手が、頬を撫で、髪に触れる。
触れた体温にドキドキしている私を見ながら、東堂さんが目を細める。
「でも、先週ひなたが帰ったあと、夜寝ようとしてベッドに横になったらかすかに香りが残っててそれに気付いたら……まぁ、大人げないが少し寂しくなった」
思ってもみなかったカミングアウトに、目を見開く。
だって、東堂さんの口から〝寂しい〟なんて言葉が出るとは想像もしていなかった。
「海外出張で会えない間も、もっと言えば、ひなたを送り届けた帰りの車の中でも、よくひなたのことを考えた。ひなたにはひなたの生活や事情があるとわかっていても、その上で、全部俺のものにしたいと思った」
表情から微笑みを消した東堂さんが、私の肩をそっと抱き寄せる。
胸に抱かれた状態で見上げる形になり、あまりの至近距離に心臓が大きく跳ねた。
東堂さんの真剣な瞳に映る私が見えた。
大きな手が、私のおでこから頭をゆっくりと撫でる。
「この髪に俺以外が触れるのは嫌だし、この目に俺以外が映るのも気に入らない。この手の体温を俺以外が感じるのを想像しただけで耐えられなくなる」
抱き寄せられたり頭を撫でられたりと、されるがままだったけれど、そのうちに東堂さんが「ひいたか?」と少し不安そうに聞いてくるので慌てて首を振った。



