御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない



当たり前のように言われる。
東堂さんとそういう関係になっても、お泊りまでは頭になかった。

でも……そうか。
恋人同士なら、お泊りくらい当たり前なのかもしれない。

……でも、そんなのはまだ早い気がする。
私はまだ、キスすら慣れていないし、そんな風にいつでも泊まれる準備をされてしまうのは恥ずかしくて堪らなかった。

「あの、でも、他にも歯ブラシとか下着とか……その、ないと困るものもありますし」

お泊りはそういうものをゆっくり揃えてからでいいと伝えようとしたのだけれど。

「そのへんは明日にでもまとめて買い行くか。そうすればいつ泊まるってなっても困らないだろ?」

私の意図は上手く伝わらなかったようで、どんどんと話が進んでいく結果となった。
困る困らないの話ではない……と伝えようとしたものの、他の人たちはどうなんだろうと不安になる。

付き合って一ヵ月もすれば、お泊まりくらい当然で、私が恥ずかしがりすぎなんだろうか。
経験がなさすぎる自分を知っているだけに、世間一般の平均値が知りたくなる。
だから聞くと、東堂さんは淡々と答えた。

「他は知らないが、俺は休日前は泊まればいいと思ってる。一緒にいられるのにわざわざ別の場所で過ごす必要もないだろ」

当たり前のことのように言うから、思わず〝そうですね〟と答えそうになったのだけれど、次第に違和感が浮かび……ふっと笑みがこぼれた。

「どうかしたか?」
「いえ。東堂さんがそんなにベタベタした付き合いが好きだとは思わなかったので。……あ、ただ意外っていうだけで悪い意味じゃありません」