「はい」
「ま、諦めないけどね」
「はい……え?!」
サラッと言われた言葉に驚いた私を見て、渡さんが笑う。
「一回振られたくらいで諦めると思う? 俺、見た目だって性格だって悪くないっていうかむしろいいし、なんかのきっかけで春野が俺になびく可能性だってあるから。俺の気がすむまでは好きでいるし、アプローチもするからよろしく」
生き生きとした笑顔で言う渡さんに、告白の返事がうまく伝わらなかったのかと不安にもなったのだけれど……きっとそうではない。その上での発言なんだろう。
渡さんの強さに見せつけられ、恋愛初心者の私は笑みを返すしかなかった。
色々なことが落ち着いた五月のゴールデンウィーク初日。東堂さんを部屋に招いた。
夕方、エクレアを手土産に持ってきてくれた東堂さんと並んでキッチンに立ち、作ったのは、ラザニア。
ラザニア用のパスタは、先週休みをとってイタリア旅行していた君島先輩からのお土産だ。
東堂さんの出張の話に感化されたらしいけれど、溜まっていた有休を使い、さっと行けるその行動力には驚いた。
数泊しかできなかったと言ってはいたものの、満足した様子だったので、私もいつか行ってみたいと思った。
ひとり旅の道中で日本人男性と仲良くなり、今も連絡を取り合っているというので、今、受付の私たちと渡さん、三人の間ではその話題で持ち切りだった。
そんな話をしながらふたりで作ったラザニアはとてもおいしくでき、テーブルの上がデザートのエクレアとコーヒーに変わったところで、東堂さんが言った。



