御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない




「え……渡さん、東堂さんと番号交換してたんですか?」

休み明けの月曜日。業務後。渡さんと並んで駅までの道を歩く。
彩佳さんとの件が落ち着いたので、その話がしたいと誘ったのだけれど、意外にも渡さんは詳細を知っていて、しかもその情報源は東堂さんだと言う。

あまり仲がよくは見えていなかっただけに驚くと、渡さんは苦笑いを浮かべた。

「まぁ、業務連絡みたいなもんだな。ボディーガードの件を引き受けたときに、必要だから仕方なくっていうか。だから、土曜日の夜、電話があった時にはびびった」

十九時の夜空には細かい星がいくつも輝いていた。

「とりあえず、無事終わったからって報告受けて……あと、お礼を言われた」
「そうだったんですね」
「っていうかさ、聞いた話によると東堂准と口論になって襲われたんだろ? 東堂彩佳とか俺を追いかけてきた時にも思ったけど、春野って結構無茶するよな。その辺、東堂さんとも話したから注意されただろ」

呆れたような笑みで言われ、同じような顔を返した。

「されました。彩佳さんと渡さんを追いかけたこと、彩佳さんが東堂さんに話したのかと思ってたんですけど、渡さんだったんですね」

『頭にくるのはわかるが、相手がどんな人間かもわかっていないのに向かっていくのは危なすぎる。今後、もしなにかあっても頼むからひとりでどうにかしようとしないで、俺に相談して欲しい。言ってくれればあとから俺がどうにでもする』

口調こそ穏やかだったとはいえ、あれは、わりと本気の注意だった。