「触ってください。私も、東堂さんに触りたい」
なぜか少し困惑した顔をした東堂さんだったけれど、ふっと笑みをこぼしたあとで私を抱き寄せる。
広い胸に抱き締められると、心臓がトクトクと心地よく高鳴った。
こうして抱き締められた回数はまだ十回にも満たないと思うのに、緊張よりも安心や居心地の良さが勝つのが不思議だった。
それでもやっぱり少しは寂しかったようで、伝わってくる体温や腕の力強さに目の奥にじわりと涙が浮かんだ。
たった十一日会えなかっただけで泣くなんて大人としてどうかしている、と自分自身に呆れて笑みをこぼしながら、東堂さんの肩口に頬をすり寄せる。
ああ、もう、本当に――。
「好きです」
伝えずにはいられない気持ちになり、恥ずかしさもなにも感じないまま口にしていた。
「嬉しいとかドキドキするとか、東堂さんに会って初めて知りました。初恋の相手が東堂さんでよかった」
東堂さんだったから、私は幸せな恋ができているんだと実感する。
しばらくそのまま抱き合い、私はふわふわとした多幸感にただただ満たされていたのだけれど、そのうちに大きな息を吐いた東堂さんに押し倒された。
ぐるっと回った視界に呆然としていると、私を見下ろした東堂さんが距離を詰めおでこにキスをする。
唇がまだおでこに触れそうな距離で「悪い。もっと触ってもいいか?」と聞かれ、その意味に気付くと同時に頬が熱を持った。
嫌じゃない。嫌ではないけれど……。



