「離れている間、寂しさもありましたけど、嬉しいって感じる量の方が多かったです。東堂さんがくれる想いに何度も背中を押されて励まされてました。私は会えない間もそういう想いにずっと守られてました」
だから、東堂さんが謝ったり悔んだりする必要はまったくない。
そんな思いから言うと、東堂さんはじっと私を見つめ……それから「ひなた」と私の名前を呼んだ。
「触ってもいいか?」
真面目な顔で聞かれ、どうしてそんなことを聞いてくるのだろうと不思議に思う。
東堂さんは普段からベタベタするタイプではないにしても、ふたりで会っていれば普通に触れ合いはあった。
手や頬に触れたり頭を撫でたり……キスしたり。今まではこんな風にいちいち私に確認をとらなかったのにどうして……と考え、答えに気付いた。
さっき、私が一度怖がったからだ。
准さんと揉めていたとき、駆けつけてくれた東堂さんが私に触れようと伸ばした手。それを、私が怖がったからそれを気にして、だから今、聞いてくれたんだろう。
思い出してみれば、車に乗っている間も、この部屋についてからも東堂さんは一度も私に触れていない。
今、ふたりの間にある三十センチの距離も、気にしてとってくれていたんだとわかり、胸がキュッと鳴いた。
「あの、すみません。あのときは私、東堂さんを怖がったわけじゃなくて……」
「わかってる」
失礼な態度だったと思うのに優しく微笑んで許してくれる東堂さんに、コクリとうなずいた。



