御曹司は初心なお見合い妻への欲情を抑えきれない



『東堂プロダクツなんて名前ではあるけど、別に一族経営ってわけでもなければ英才教育に厳しくもないの。他の会社に就職したっていいし、なんならひとり旅に出たっていいような、自由な家風なのよ』

東堂さんは、多少は取締役社長の実子という理由があるにしても、単純に仕事ができるからあのポジションにいるんだと彩佳さんは教えてくれた。
東堂の名前に甘えず、ひと一倍努力した結果だと。

そしてそれは彩佳さん自身にも言えるとも話していた。

『それなのに、准は〝東堂の名前に恥じないように〟って必要のないプレッシャーまで背負ってダメになっちゃったの。そのあたりからかな。元から晃成のことを尊敬してたけど、引きこもるようになってからは崇拝みたいな、異常な執着を見せるようになった』

東堂さん合うのは、誰もが認めるような完璧な女性だけだと勝手に決め込み、東堂さんに言い寄る女性にひどく当たって泣かせたりということが何度もあったという。

『晃成がひなたを特別気に入っていることに、たぶん、准も調べて気付いてる。ひとりでコソコソなにか調べてる様子もある。だから、准がひなたになにもしないように私が見張ってたの』

つまり、すべてのきっかけとなったあの手紙だけが准さんの仕業で、そこから先の謎の視線や尾行は私の身を案じた彩佳さんの仕業だったということだ。

やっと納得がいった私に、彩佳さんは謝った。

『私が様子を見に行ったときにはまだ実害はなさそうだったから、忠告だけにとどめたけど……ごめんなさい』
『え?』