「……そうですよ」
バカにしたような笑顔を浮かべている准さんを、真っ直ぐに見つめて続けた。
「だって、欲しいと思うものは自分でとりにいかなくちゃ手に入らないから。自分に必要だと思うものは貪欲にとりにいきます。仕事だってそう。私の未来には少しでも安定した収入が必要だと思ったから、今の会社を選びました。ただ欲しがってるだけじゃダメだから、それが手に入る術があるならコネでもなんでも使います」
それをあさましいと言われたらその通りなのかもしれない。
けれど、周りの誰かにどう思われたって、自分を守れるのは自分だけだ。そう言われて育ったし、私もそう思うから。
自分自身も、大事な人も、私が守る。
「東堂さん……晃成さんも、私に必要だから離れません。家柄だとか、そういうことはあったとしても、それは晃成さんから言われるべきことであって、准さんが無責任になにを言ってこようと関係ないです」
「おまえ……っ」
「だから、私のことをひどく言うのはいいです。でも、母を侮辱したのは謝ってください。母は、間違ってもあなたに見下されるような人間じゃない。女手ひとつで私を育ててくれた、立派な人です」
一歩も引かずにハッキリと言いきった私に、准さんはぐっと黙った。
その眉間にはしわが寄っていて尚も私を睨みつけている。さっきみたいに、いつ暴力的な行動に出るかを考えると恐怖で体が震えていた。
けれど、いくら怖くても私もここで逃げ出すわけにはいかない。
なにも悪いことをしていない私が背中を向けるのはおかしい、と自分自身を奮い立たせる。



