「私はまだ知り合って間もないですし、結婚なんて考えは東堂さんにもないと思います。でも、もしも結婚したところで隣に並ぼうなんて考えていません。ただ……東堂さんは、私に信用されるためにたくさん頑張ってくれたから」
きっと、私相手じゃなかったらしなくていい努力をたくさんしてくれた。
電話やメッセージの回数だって、私の信用を得るためだろう。
時間がないのに毎週毎週会う時間を割いてくれたのだって、そうだ。
並んでのジョギングも、海へのドライブも……東堂さんが私が楽しいようにと考えて誘ってくれたことだ。
男性との交際経験がない私と歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれた。
もらった優しさは、今もきちんと私の中にある。
「だから私も、東堂さんのために努力したいです。どれだけ重たいものを抱えているのかわかりませんが、少しでも軽くなるように支えたい。そういう意味では、いつでも頼ってもらえるように肩を並べて歩ける存在になりたいとは思ってます」
私があまりに強気に言いきったからか、准さんはしばらく目を見開いていた。
けれど、そのうちに口の端を上げ、鼻で笑い私を見た。
「今の会社だって、父親のコネでしか入れないレベルの女が偉そうによく言うよ」
まさか、そこまで調べているとは思っていなかっただけに、驚く。
思わず黙った私を、准さんが愉快そうな顔で見ていた。
「おまえの母親も金欲しさに再婚したんだろ? で、おまえは晃成が欲しいって? 親子揃って本当にがめついよな。あからさまに欲しがる姿とか下品で仕方ない」
挑発的な態度に、キュッと唇を噛みしめる。
下品と言われればそうなのかもしれない。
――でも。



