「晃成と付き合っていくつもりなら、手紙くらいじゃ済まないことが起きるって覚悟しておいた方がいいかもしれない。晃成の立場を知らないわけじゃないでしょ? だったら、晃成とあなたの付き合いを面白く思わない人間がいることくらいわかるわよね」
「……はい」
「面白く思わない人間は、まず、晃成よりもあなたを先に狙う。そういう人に何か言われたからって簡単に崩れるような覚悟でいられたら困るの。そのたびに晃成まで傷つくことになる。だから、覚悟を決めて強くなるか別れるかにして。あと、しっかり自衛して。……晃成のせいにされても困るの」

真剣な眼差しで告げられる。
まるで、本当に私が自衛することを望んでいるような瞳に何も返せずにいると、渡さんが隣でため息をついた。

「面白く思わない人間ね。たとえば、おまえってことだろ。遠回りな言い方やめろよ」

またヒートアップしそうな渡さんを止め……ゆっくりと彩佳さんを見た。

「あの、覚悟した方がいいってことも、自衛した方がいいってこともわかりました。たしかに考えが甘い部分があったので、気を引き締めます。彩佳さんが言いたい意味はわかりますし、私も、私の存在が東堂さんに迷惑をかけるのは嫌なので……しっかり気を付けます」

私の言葉に、彩佳さんはなぜか少しだけツラそうに顔を歪ませた。
私の答えが彩佳さんが望んでいたもの……つまり、〝別れる〟という言葉とは違っていたからかもしれないとは思ったけれど、続けた。