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カオリさんに連れて行かれた場所はいつも利用している喫茶店だった。夢の話をカオリさんに話したのもこの喫茶店だ。

そして私はカオリさんに優しく問われて全てを話した。


「恋人たちは全て私の都合のいい夢だと思っていました。けど、違うんです。彼らは私の夢でも私に苦しめられている。最初はそんなことどうでもよかった。ただ夢に溺れていた。だけど、彼らが苦しんでいると思うと、胸が痛いんです。彼らはただの夢なんですよ。でも彼らは夢の中で確かに生きている人間なんです。私はそんな彼らに取り返しのつかない酷いことをしました」


自分で喋っていて自分が何を言っているのかわからなくなる。矛盾している言葉をたくさん並べてぐちゃぐちゃにしている。
だが、そんな狂った私の話をカオリさんは嫌な顔一つせず聞き続けてくれていた。


「そう。エマちゃんはそう思ったのね。夢のエマちゃんは愛を知らない人間だった。だから恋人たちに愛を求めて酷いことをした。だけど今のエマちゃんはどう?現実のエマちゃんは愛をよく知っているわ。ここまでまっすぐ育つ為にきっと沢山の愛を受けてきたはずよ。そこが夢のエマちゃんと違う点で現実のエマちゃんを苦しめているとこだと思うの」

「はい」

「だからね、エマちゃん。愛を知っているアナタは優しいわ。きっとこれからもその夢に苦しめ続けられる。だからエマちゃんは例え夢でも彼らに誠意を見せた方がいいわ。その方がエマちゃんも楽になるんじゃない?今までの非礼を詫びて彼らを解放してあげるの。それからまた新たな恋を始めたらいいと思うわ。人間はいくらでもやり直せるのよ」

「そう、ですね」


スッとカオリさんの言葉が私の頭に入っていく。
夢から覚めてずっと後悔の念しかなく、ただただ苦しかった。
だが、カオリさんの話を聞いて私はまだやり直せることを知った。人間は過ちを犯す生き物だ。そしてその分だけやり直し、成長することもできる。