獣人しかいない国ならば、なにも人間のように結婚の誓いとして指輪をする必要はないという。彼らはお互いの匂いを移し合ったり、噛み跡を残したりすることで、既婚者だと伝わる。


けれど、サンミリガンのように人間と獣人が共存して、種族を超えた結婚を認めている場合は、人間に既婚者だと知らしめるために、指輪をはめることが義務付けられているのが普通だ。


なにも、義務とまでしなくても……と思ったけれど、獣人にとっては重要なことのようだ。


獣人は、愛情深い種族。
一度番と認定すると、凄まじい独占欲を発揮する。

最愛の相手が、共に獣人ならばなにも問題はない。お互いが合意の上で番となれば、途端に他者は異性として意識できなくなるから。

けれど、もし相手が人間だったとしたら。
もしくは、周りに人間がたくさんいる環境だったとしたら。

誰から見ても既婚者だとわかるように、間違えて手を出されないように、指輪でアピールをするのだという。