とはいえ……
宣伝とかはどうするのだろうか……?

いや、ドリーのことだ。
そんな心配なんていらないのだろう。


だって、ほら……



「どうしても見つからないんだ……」


ガクリと肩を落とした、悲壮感漂う1人目の客がやってきたのは、占い師となった1日目の昼過ぎだった。

対象が獣人の場合、人型も獣の姿も把握しておかないと、たとえ水晶が映し出したとしても、私自身がどれが本人なのかがわからない。

ということです、早速姿を変えてもらうと、目の前の若い男性は鹿に姿を変えた。
シカを目の前で見るのは初めてだ。内心、驚いてはいたけれど、それは失礼というもの。人に接する時と態度を変えてはいけない。


依頼内容は、無くしてしまった指輪を見つけて欲しいとのこと。
要は、見つけ出す場面を見られれば解決できるはず。それほど難しくはなさそうだ。