婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

可愛く駆けていくチェリーを見送ると、部屋にはドリーと2人っきりになった。


「ねえ、ドリー……」

「なんだ?」

「この水晶の占いが、外れないっていうのは……?」

「言葉通りだね」


そんな簡単に言われても……


「じゃあ聞くが、これまでに水晶の見せたことが、外れたことはあったか?」


大小いくつかの未来を見せられてきたけれど、確かに外れたことは一度もない。
けれど、それが根拠になるというのだろうか?

不安と疑問は尽きないけれど、なぜかドリーの言葉はストンと入ってくる。


「そういうことだ。それより、なかなかよい調子じゃないか。これからが楽しみだ」



その後宿を訪れたのは、宿泊客が1組と、食事に来た客が7人のみ。なかなかに緩い経営だ。