婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「あっ……と、消えちゃったわ」

「ど、どうだった、ライラ?覚悟はできてるの。見えたことを教えて」

瞳を潤ませて、懇願するように見つめてくるチェリー。純真なこの子を、早く安心させてあげたい。

「あのね、ハロルドとチェリーの周りに、少なくとも3つの毛玉……あれは……ウサギの赤ちゃんかしら?2人の足元にまとわりついていたわ」

「本当!?」

途端にピョンピョン飛び跳ね出して、喜びを爆発させた。

こんなに喜んでいるところに、水を刺したくないんだけど……念のため。


「でもね、チェリー。あくまでも占いだからね。外れることもあるのよ」

「わかってる」


言葉とは裏腹に、チェリーのジャンプは止まらない。
これがぬか喜びにならなければいいけれど……



「水晶が見せたものは……」

「え?」


すっかり気配を消していたドリーが、おもむろに声を上げた。さすがにチェリーも動きを止めて、ドリーの方を向く。