婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

しばらくすると、水晶にもやがかかってきた。

見えそうで、見えない。
でも、確かにその向こうに、答えの存在を感じる。
もどかしさに焦れてしまえば、さっと逃してしまいそうだ。前世でもそうだった。導き出される答えに怯えたり、焦ったりすればするほど、本来の答えは隠れてしまう。

見たいのは、無条件な幸福ではない。本当の未来。それを受け止められるかどうかは、また別の話だ。

目を細めたって見えるわけじゃないのに、そうしてしまうのは必死さの表れだろう。

〝教えて、チェリーの未来を〟



「あっ!!」


バッと机に手をついて目を凝らす。


「いち、にい、……えっと、さん……かな?」


チェリーとハロルドが笑って立っている足元に、複数の毛玉が見える。

じれた様子のチェリーは、それでも懸命に急かすのをこらえている。

その向こうで、ドリーが笑みを浮かべているのには気が付いていなかった。