婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「それじゃあ、はじめるかい」

いよいよ占いの特訓だと連れて行かれたのは、食堂に直結する小部屋だった。


室内は薄暗く、灯りはキャンドルで……とかではなく、椅子と机があるだけという、殺風景な部屋だった。

ここで向かい合わせに座って占って、終わったらカウンターで支払いをする。案外普通だ。神秘さのカケラもない。


占う方法は、水晶に向かって占いたいことをただひたすら念じるのみ。集中力がものを言うらしい。


「それで、チェリーの占って欲しいことって?」


ウサギっ子の悩みが、今朝から気になって仕方がなかった。


「あの……あのね。実はね……あ、赤ちゃんのことが……」

「えっ?チェリーって、お母さんだっての?」


人は……ウサギは、見かけによらないとは、まさにこのことだ。