婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

支度を済ませて、昨夜、夕飯をいただいた食堂へ向かえば、すでにドリーがいた。


「遅くなって、ごめんなさい」

「いんや。ちょうどいい。毎朝この時間でかまわない」


ホッとしつつあたりを見回すも、私たち以外の従業員は見当たらない。
昨夜は宿泊客がいなかったせいで、誰もいないのだろうか? 
ドリーに尋ねると、どうもそうではないらしい。


「厨房では、既に調理担当のグノーが、朝の賄いを作っているはずだ。ついでに、ランチの仕込みもな」

言われてみれば、奥から微かな音が聞こえてくることに気が付いた。
従業員の紹介はと尋ねれば、必要がないという。


「グノーは人嫌いの獣人だ。本人が話したいと思わん限り、姿を見せることはないだろうよ。それまでは、そっとしておいておやり」

それはまた……ずいぶん変わっているのね。


「あとは……食材は、提携している獣人が毎朝運んでくる。支払いは女将の管理だが、受け取りも処理もグノーがやってる」


ここの食事に関しては、グノーに一任されているようだ。