婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「ともかく、占い師もいずれ女将も引き受けるのならか、三食宿付き。ここに住んでよし。もちろん、生活費は抜くが、給金も出す」


話を無理矢理ぶった斬った気がするけれど……私の気を引くには十分。
だってそれ、破格な申し出だもの。
この先どうやって生きていくのかなんて、無計画だったし。住むところがあるってだけで、ずいぶん心の持ちようが変わってくる。それだけで、不安も吹き飛ぶというもの。


でも……
甘い話には裏がある。ちゃんと確認しないと。


「もし、占いの能力が思うようなものじゃなかったら?」

「心配はいていない。が、そうなった時は、女将業に専念するのみ。他が現れるまで待つさ」


なるほど。未知数な占いの方は、どう転んでもいいのか。それはちょっと気が楽になる。


「じゃあ、女将を辞めたいって思った時は?」

「次が見つかればかまわないさ」


この返しにホッとした私は、所詮、お嬢様育ちなのかもしれない。
落ち着いて考えれば、こんな不便な場所で働く人なんて、そうそう見つからなさそうなことぐらい、気付きそうなものだ。