婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

ただ……

「ドリーなら、占う力を持ってるんじゃないの?」

「わしには、ここではできない」

「ここでは?」

「ああ。事情があるのさ。まあ、それはいい。
わしにあるのは真実を見る力、とでも言うかな」

「真実?」

一体、どういうことなのだろうか?


「わしには、ちいとばかり強い力があるらしくってな。時と場に関係なく、真実を見る力だけは健在だ。
たとえば……わかりやすいところで言えば、セシリアは無実の罪で婚約破棄された。違うか?」 

「……そ、そうよ。私、アルフレッド殿下に指摘されたようなことなんて、何一つしてないわ」

「そういう真実が、わしにはわかる。相手がどういう人物なのかがな。
それから、ここではけっこう役立つが、人型をしている客が、なんの獣人かもわかる」


漠然としていて、理解し切れないけれど……

それよりも、アルフレッドが信じてくれなかった私の言い分を、一目で見抜いてくれたことが、心の底から嬉しいと思った。



「そういう力を持ったわしからしたら、ライラは十分ここでやっていけるとわかっている」