婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「もしかして……アルフレッド殿下との出会いや、あのような別れもまた、私がここへ来るために仕組まれたものだったりしますか?」

ふと疑問に思ったことを口にしていた。
そうだったとしても、別に恨む気持ちなんかはないけれど。


「いんや。わしにそんな力はない。
けど、そうさなあ……」


顎に手を当てて、視線を上に向けたドリー。
この人は本当に、何者なのだろう?なんか、全てを見透かされてる気さえしてくる。
けれど、不気味だとか怖いとか思ってはいない。


「水晶のことと同じさ。セシリアがあの若造に見初められたのも、こういう結果になったのも、やっぱりはじめから決まっていたこと」


わかったような、やっぱり何一つわからないような話だ。
ドリーはさらに続ける。


「それはそうと、ライラにここでしてもらいたいことは……」


ん?ここでしてもらいたいこと?
ここへは、一晩泊めてもらいたくて来たんだけど……?