私だけでなく、父もまた、この先肩身の狭い思いをしていくに違いない。
ここ数日の父は、残務整理をしていたはず。田舎町に住む叔母を頼って、そちらへ移り住もうと言っていたけれど……
父は婚約破棄に対して、私に何も言わなかった。父がどう捉えていたかはわからないけれど、きっとヴィンセント同様に、私の無実を信じてくれていたと思うのは、私の独りよがりではないと思う。
それにしても……
あれからそれほど経っていないというのに、苦しそうに顔を歪めて私を糾弾するアルフレッドの姿を目にしても、今の私は微塵も心苦しく感じない。
3年も一緒に過ごしてきた婚約者としては、ずいぶん薄情なのかもしれないけれど。
グリージア王国では、婚前交渉は禁止されている。裏ではわからないけれど……
特に貴族の間では、そこが重要視される。
当然、私とアルフレッドの交際は清いものだった。一緒に過ごすほとんどの時間、近衛や侍従達の目が常にあったのもあるけれど。
手を握ったり、頬に手を添えられたりするぐらいがせいぜいだ。
その分、たくさんの言葉を交わし、心から信頼し合っていたと思っていたけれど……
私はどこか一線引いていて、一歩を踏み出せていなかったのかもしれない。
そう思うと、未練がましく思う気持ちよりも、申し訳なかったとすら思えてくる。
ここ数日の父は、残務整理をしていたはず。田舎町に住む叔母を頼って、そちらへ移り住もうと言っていたけれど……
父は婚約破棄に対して、私に何も言わなかった。父がどう捉えていたかはわからないけれど、きっとヴィンセント同様に、私の無実を信じてくれていたと思うのは、私の独りよがりではないと思う。
それにしても……
あれからそれほど経っていないというのに、苦しそうに顔を歪めて私を糾弾するアルフレッドの姿を目にしても、今の私は微塵も心苦しく感じない。
3年も一緒に過ごしてきた婚約者としては、ずいぶん薄情なのかもしれないけれど。
グリージア王国では、婚前交渉は禁止されている。裏ではわからないけれど……
特に貴族の間では、そこが重要視される。
当然、私とアルフレッドの交際は清いものだった。一緒に過ごすほとんどの時間、近衛や侍従達の目が常にあったのもあるけれど。
手を握ったり、頬に手を添えられたりするぐらいがせいぜいだ。
その分、たくさんの言葉を交わし、心から信頼し合っていたと思っていたけれど……
私はどこか一線引いていて、一歩を踏み出せていなかったのかもしれない。
そう思うと、未練がましく思う気持ちよりも、申し訳なかったとすら思えてくる。



