「セシリア・ローズベリー……その前は……春宮さくら」
「ど、どうして春宮の名前まで?」
「さあね、わからん。セシリアがこの世に生まれた頃、その2つの名前とライラとしての姿が脳裏に浮かんだ。
ああ、そうそう。〝ガーディアン〟は今思い付いただけだがな」
そ、そうなの……思い付きね……
「その時から、ライラが水晶とここへ来ることもわかっていた」
生まれた時から!?
ドリーに促されるまま水晶を覗けば、映し出されたのは、先日アルフレッドから婚約破棄を言い渡された場面だった。
これまで、この水晶が過去を映し出したのは一度だけ。それも、正確には過去といってよいのかどうか……私の前世のみだ。
あとは未来しか見せたことはなかった。
そのことをなんとなく不思議に思いつつ、映し出された映像に目を凝らす。
私は、あの場の誰よりも冷静だったと思う。こうなることは、わかっていたことだから。
心を痛めるのは、顔色も悪く、支えられるようにして立つ父の姿のみ。
私が幼い頃に母を亡くし、後妻を迎えることもなく、男手一つで私を育ててくれた父には、本当に悪いことをしたと思っている。
いや。実際には、私は何もしてないのだけど……
「ど、どうして春宮の名前まで?」
「さあね、わからん。セシリアがこの世に生まれた頃、その2つの名前とライラとしての姿が脳裏に浮かんだ。
ああ、そうそう。〝ガーディアン〟は今思い付いただけだがな」
そ、そうなの……思い付きね……
「その時から、ライラが水晶とここへ来ることもわかっていた」
生まれた時から!?
ドリーに促されるまま水晶を覗けば、映し出されたのは、先日アルフレッドから婚約破棄を言い渡された場面だった。
これまで、この水晶が過去を映し出したのは一度だけ。それも、正確には過去といってよいのかどうか……私の前世のみだ。
あとは未来しか見せたことはなかった。
そのことをなんとなく不思議に思いつつ、映し出された映像に目を凝らす。
私は、あの場の誰よりも冷静だったと思う。こうなることは、わかっていたことだから。
心を痛めるのは、顔色も悪く、支えられるようにして立つ父の姿のみ。
私が幼い頃に母を亡くし、後妻を迎えることもなく、男手一つで私を育ててくれた父には、本当に悪いことをしたと思っている。
いや。実際には、私は何もしてないのだけど……



