婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

チェリーの姿に、一気に獣人に対する捉えが変わっていく。

獣人、いい人だ。


「で、あなたは?」

チェリーの可愛さに当てられていた私に、不意に切り返された問いに、ピクッと固まった。


「わ、私は……」


「ライラ・ガーディアン」

「え?」

声を発したお婆さんに目を向けた。

ライラ……って、確かにハロルドにはそう名乗ったけど……
なんでこの人がそれを知ってるの?

視線がぶつかって、ニヤリとするお婆さんに、とりあえずここは頷くべきだと理解した。


「え、ええ。そうよ。よくご存知で。私のことはライラって呼んでください」


お婆さんがなぜ私の使った偽名を知っていたのか……

チェリーは少しも疑問に思わなかったようで、「可愛い名前だね」なんて、さらにピョンピョンしていた。