「わかったよ、セシリア」


よかった……


「今のセシリアは、俺と2人でそこら中を駆け回って遊んでいた頃の目をしている。明るくて、強くて、好奇心旺盛な、お転婆セシリア」

「まあ、失礼しちゃうわ」

しばし現状を忘れて、2人で笑い合っていた。




「セシリア。せめて俺に送らせて欲しい」


背後にいる馬は、ヴィンセントの相棒。

確かに、ここから緩衝地帯まではかなり遠い。徒歩では無理だから、馬車をと思ってはいたけれど、他人に顔を見られるのはできたら避けたい。

ここは、ありがたくヴィンセントの申し出に乗らせてもらおう。


「ありがとう、ヴィンセント」





こうして私達は、緩衝地帯に向けて出発した。