「ライラ、雨の日を占ってよ」

ミランダと対峙してからというもの、カエルの王子……じゃなくて、サンミリガンの王子ルーカスは、最も信頼する家臣のジャレットを従えて、緩衝地帯の森の奥深くの宿へ、日参する勢いでやってくる。

「また?昨日も占ったじゃない」


以前は、外に出ないようにするために雨の日を知りたがったルーカスが、今は雨の日こそ私の元へ来たがるようになった。一応、濡れないように気をつけて、人型のままで。


「雨の日って……そんなの関係なく、ほぼ毎日ここへ来てる気がするけど?」

「気にするな」

いや。気にする、しないの話じゃないから。


「一国の王子が、毎日こんな森の奥で油を売ってていいのかしら?」



「そうだぞ、ルーカス」

「お前だって、人のことは言えないだろ?アルフレッド」


横の席に座る、グリージア王国の王太子をジロリと睨むルーカス。どっちもどっちだ。