婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「あくまで、お姫様から口付けること」

「姫から……」

〝もちろん、ライラはやってくれるよな?〟という、さらに圧のこもった視線を向けないでいただきたい。


「魔女は、ロマンチックが好きなのさ」

ドリー……ルーカスを煽るようなことは言わないでよ……


「そして……」

「そして?」

さらにあるのかと、胡乱な視線をドリーに向ける私。


「カエル姿の王子に口付けること」

「なっ!?」

ガタリと立ち上がる私の腕を、ルーカスがバッと掴む。どこがロマンチックよ。グロテスクの間違いでしょ?


「無理無理無理。ないから!!」

もちろん、カエルどうこうの前に、ルーカスに口付けること自体ありえないし。