婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「ライラは俺の番だ!!勝手に求愛給餌をするとは!!」

「だから、なんですかそれは?」

「ライラ、求愛給餌とは、獣人が番に対して食べ物を与える愛情表現の一つです……って、ルーカス様、落ち着いてください」

「これが落ち着いてられるか!!グノー、ライラから離れろ」


そんなバカな。
そもそも、私は人間だ。獣人の求愛行動なんて関係ない。

「グノーは、一緒に働く仲間よ。ルーカス、そんなに暴れて、みっともないわよ」

「うぐっ……」


やっと静まったルーカスは、グノーが厨房にもどっていくのを見届けると、ふんと鼻を鳴らした。



「ルーカス様。それよりもカエルです。カ・エ・ル」

「カエル、カエル、煩いぞジャレット」


はあ……くだらない言い合いに、思わずため息がこぼれる。