婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「おい、カエルの王子よ」

そこに割り込んだドリーの声に、やっとルーカスが腕の力を緩めた。

「カ、カエルとはなんだ!!」

「事実だ」
「本当じゃない」
「さっきまでカエルでした」

三者三様の返しに顔を歪めるも、立ち直りは早いようで、ルーカスはドリーに近付いた。


「ドリーは、最初からカエルが俺だって気付いていたよな?呪いを解く方法だって知ってたなら、早く教えてれてもよさそうなものを……
で、どうしたら解けるんだ?」

「そんなの、昔からカエルの王子の魔法を解く方法なんて決まっとるだろうが」


ま、まさか……

私が幼い頃、亡くなった母の代わりに父や使用人達が読み聞かせてくれた童話を思い出す。


いや、まさかね……?
そんなはずは……


そろりそろりと、後ずさる私。
それに獣人であるルーカスが気付かないわけがなくて……