「ライラ!!」


「ルーカス様!!」
「やっともどったか」

ジャレットとドリーの声を無視して、ルーカスが私に近付いてくる。それを、思わず両手を伸ばして遮った。


「ストップ!!さっきまで、カエルだったから!!」


ちょっとだけ傷付いた顔をしたルーカスが、なんだかかわいそうな気がした。

「ぬ、ぬめりは……ないのね?」

「見ての通りだ」

さらっと髪を払ってみせた。


そろりそろりと、私から近付いていく。

自分よりずいぶん高い位置にある彼の髪に、恐る恐る手を伸ばした。王族の特徴と言っていた煉瓦色の髪に、遠慮がちにちょんと触れてみる。
されるがままでいるルーカスに、少しだけこちらの緊張も緩み、もう少しだけ指を深く入れて、ゆっくりとわさわさ撫でてみた。

はじめて触れるルーカスの髪は、なかなかに触り心地が良い。
私が触れている間、ルーカスは気持ち良さそうに目を細めていた。