「ご、ごめんね、ルーカス。私、どうしてもカエルは……得意じゃなくて。そ、その……急にジャンプとかしないでね」

『ゲコゲコ』

変わらぬつぶらな瞳は、なんと言っているのかよくわからない。

「そうですよ、ルーカス様。そのお姿の時にライラに近寄れば、番どころか嫌われます。ここへの出入りを禁止されかねませんからね」

『ゲコゲコ』

一際大きく鳴いたカエル……ルーカスは、まるで不満をぶちまけているようだ。ていうか、その〝番〟っていうのは本気なのか……



「ドリー、ルーカス様の呪いを解くことは可能ですか?」

「ははは。そんなの簡単さ」

そんなことも知らないのか?ぐらいの勢いで、ドリーが豪快に笑い出した。


「簡単!?ど、どのようにすれば?」
『ゲコゲコ ゲコゲコ』


希望に喜びを隠せなかったのか、カエル……ルーカスがその場で小さくジャンプした。そのままポンっと一際大きく跳ねると、ピタリと床に着地した。
思わず「ひぃ」と漏らしてしまったのは、許して欲しい。決して悪気はない。

なんて狼狽えていると、床のカエルが一瞬ぼやけた。「え?」と思っている間に、ボワッと靄がかかったようになり、その中から人型のルーカスが現れた。