「セシリアは……私の元婚約者は、私と一緒にいた頃、聡明で思慮深く、年齢以上の……今思えば少しばかり大人びた女性だった。それが私の元を去って以来、性格は180度変わり、はつらつとしている……と、風の噂で聞いた。
彼女の幼い頃を知っているという男と話す機会があったのだが……セシリアが幼い頃は、その男と庭を駆けずりまわったり、木に登ったりと、活発な子どもだったという。時には、迷い込んだ野良猫を可愛がったり……」


急にどうしたというのだろう?

切なげな目をしたアルフレッドは、ふと私に視線をもどした。


「どれもこれも、私の知らない姿ばかりだ」

「それは……あなたにも言えることかもしれませんよ。まさか、あのアルフレッド殿下に子どもっぽい一面があるとか、不真面目だとか、誰も知らないんじゃないかしら?元婚約者さんでも」


「……そうかも、しれんな……」


「想い合う気持ちは本物でも、本当の姿は見せられなかった。それは、お互いのせいじゃなくて、年齢とか立場とかが、そうさせたのかもしれないですね」

「なるほどな……」


国を背負って立つ彼には、次こそ自分の全てを曝け出せる伴侶を見つけて欲しい。