「ライラ」

おバカな2人を放って夕方の準備をしていると、グノーが声をかけてきた。

「なあに、グノー」

「ん」

相変わらず、言葉数は少ない。
突き出されたグノーの拳の下に、自分の手を広げると、可愛らしい包みのチョコレートが2粒ポトリと落とされた。

「くれるの?」

コクリと頷くグノーに、自然と笑みが広がる。

「ありがとう、グノー」

きっと、眉間に皺を寄せ続ける私に、気を遣ってくれたのだろう。なかなか懐かない猫が、少しずつ心を開いていくようで、すごく嬉しい。



「あっ!!なに餌付けされてるんだ!!」

ハッとして振り向けば、不機嫌そうなアルフレッドがいた。

「餌付けって……」

この人、なにを言ってるの?


「私はまだ、ライラを連れ帰るのを諦めていない」

「え?」