「あなた達、準備はいいの?」


そのまま夕飯も食べようと、店に居座り続けている。今さらとはいえ、2人の立場を考えたら、ここで毒見もないまま食事をするなんて、とんでもないことだと思うけれど、獣人は匂いでわかるから問題ないらしい。

アルフレッドの方は、「ライラを信じてるから」と、よくわからない信頼のもと、平気らしい。作っているのは私じゃない。調理の担当は、グノーだ。


「問題ない。護衛の騎士に、伝達に走らせた」


一国の王太子ともあろうアルフレッドは、最後まで渋った騎士に詰め寄り、終いには王太子命令として追い出してしまった。
命令とまで言われてしまえば、さすがに逆らえなくなってしまう。あの騎士が不憫でならない。


「サンミリガンも問題はない。ジャレットが走ったからな」

対するルーカスも、変わらない有り様。
もしここで何者かに襲われたらと思うとゾッとする。こんな森の奥では、助けも呼べない。なにがあっても、私は知らないんだから。